2010年7月9日金曜日

関西SEOサミット2DAYS:森川眞行氏の講演

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関西SEOサミット2DAYSの補足記事です。
2日目の森川さんの講演内容について、別の機会に書ければと書いた分です。

2日目の記事はかなりの分量であり、かつ、森川さんの講演内容はSEOというくくりで考えるよりもIAやより大枠の制作工程で捉えた方が良いと考えました。
そこで、この記事のように独立させる事にしました。

専門家の専門的講演を丸まる理解できているとは到底思えないので、不備はあるかと思いますが書くと言った以上全力で書いてみようと思います。



講演について


前提を確認します。

この記事の講演とは、7/5と6に開催された関西SEOサミット2DAYSをさしています。
この記事の対象となる講演は、2日目の森川眞行氏の「HCDとかIAとかUXとかSEOとか」という講演です。

初日の記事はこちら
2日目記事はこちら

標準化=ユーザビリティ


最初にWEBの歴史について説明をされました。
年表を画面に出して「この年代にはこれ」的な話です。
そして、その中で1999年 ISO13407(インタラクティブにおける人間中心設計プロセス)という規格について触れ、「インターフェースをより人間にとって使いやすいものへ」というきっかけになったとお話しされました。
また、「誰のためのデザイン」というD.A.ノーマン氏の著作に触れ、ユーザビリティとは「使いにくさがどれだけ少ないか」であり、共通化・標準化がこのユーザビリティに大きく関わるということでした。

この辺りはとても重要です。
現在ではかなり改善はされているのですが、やはり「誰のたものものなのか?」という疑問が浮かぶ事はあり、そういう時は非常に使いにくい物がおおいです。
もちろん、自分自身そうなる可能性は常にあり、視野を広げなければと強く感じます。

HCD(Human Centered Design)


HCDとは人間中心設計と訳されるもので、端的にいえば人間を中心においた使う人間の為の設計と言えると思います。
...そのままですね。

私自身勘違いしていたのですが、ユーザビリティは「使いやすくする」ではなく「使いにくさを排除する」という方向なのです。
この点がユーザビリティの生まれた状況を強く現しているようで、とても興味深いと思います。

使いにくさの排除が主であると言う事は、つまり周りはみんな使いにくくてどうしようもない状況だったんでしょう。
それはとてもひどくて、「より良く」なんて言葉ではなく「使いにくいもの全部捨ててしまえ!」という強い衝動が生まれたように感じます。

もちろん、機械や機能のの裏側で動くシステムは常に進化をとげていました。
それこそスピードや効率、ひいては成果の拡大を実現してきたはずです。
しかし、いざ使いだすと人間が使うには邪魔な物や足りない物が多く、内部の機械的機能や成果の充実はそれほど大きくはなりませんでした。
人間が使う以上、使いにくければ最大限の効果が得られないのが道理です。

この問題の解決の為に、人間を中心においた設計、つまりHCDが生まれたのです。

HCDの思想や手法は、純粋な技術と人間を滑らかに結びつけるものであり、現在では必須ではないでしょうか?

設計工程


WEBサイトを制作する際、推奨される工程があります。

それは、

設計→実装→運用→評価→設計→実装...

と繰り返す工程です。
どれほど完璧に作り上げたとしても、時間や状況が変わればその完成度に必ず変化が出ます。
その変化は時に致命的な問題となり、放置が出来なくなる場合もあります。

こういった状況を最初から想定し、常に評価のあと設計の戻る事でよりよい制作物を生み出す必要があります。

森川さんはの問題を現すのに最適な言葉を最初にいわれました。

「サイトは作り変え続けなければいけない」
(楽天の清水さんの言葉だそうです)

結局、印刷して終わりの書籍であっても版を重ねるように、すべからく変化に対応する為に変化する必要があるという事です。

設計の前でより重要な工程


実際にサイトに設計に入る前に重要な工程があります。
それが「調査」「専門評価」「分析」の工程です。

最初に書いたユーザビリティは万人に対する物ではありますが、WEBサイトであれば特定のターゲットを絞る必要性は高いでしょう。
ターゲットを決めるのであれば、調査や分析無しにはできようがありません。

つまり、誰の為のサイトかという根本的な問いを突き詰め、明らかにしていく工程が必要なのです。

調査


調査で森川さんがいわれたのは、「アンケートは当てにならない。」という事です。
通常、マーケッターであれば実感として持っている認識だそうです。

知識として(先入観や見栄など本当の姿を隠す事が普通だから)は知っていましたが、実際の現場でも実感として捉えられている事をきいて腑に落ちた思いです。

調査の方法で勧めておられたのは、ユーザーテストでした。

ユーザーテストとは、特定のタスクを被験者(ユーザー)に示し、実際に被験者の動きを観察、場合によってはインタビューしながらその動きを調査する方法です。
観察の際には、被験者
お金と時間が書けれるならば、最適なのは被験者の家に行き観察する方法がもっとも有効です。

なぜなら、被験者がいつもの状態でいつもの行動を行う様を観察できるからです。
環境によって行動は変わりますから、どれだけ現実に忠実な調査ができるかが肝なのです。

余談ですが、この調査方法については「WEBアナリスト養成講座」に詳しく書かれています。
おそらく他にも良い本があるとは思いますが、私が読んだ本でこのテーマが書かれているのは少ないので、これぐらいしか勧められません...。

分析


分析手法として(あるいはその成果として)森川さんがお話に出したのはペルソナです。

調査で得た情報を細大漏らさずに記載し、そのデータを元に思考・指向・属性を抽出し、情報の再構築を行います。
この際に人格の肉付け与えます。
その後さらに分類し、ステークホルダー(ステークホルダーとは利害関係者と言う意味でいいのかなと思います。多分。なお、リテラシー別ではないと強調しておられました。)別に分けます。

このようにしてペルソナを作成し、ユーザー像の共通理解を実現する訳です。
ユーザー像を共有(クライアントを含め)できる恩恵は計り知れません。
サイトの中心にブレが無く、誰の為のサイトであるかも常にどの工程でも明快だからです。

そしてこのペルソナをIA(情報アーキテクチャ)にも利用していきます。

設計


設計段階で特に有効なのは、ポストイットを使ったカードソーティングだそうです。
ポストイットは貼ったりはがしたりが楽なので、順序を入れ替えたり場所を映したりして分類を行う際には適した素材です。

この手法で情報を分類し、構造を明確にしていきます。

ラベリングに至るあたりでSEO的な視点も取り入れて行きます。
もっとも「ここからSEOだ!」と言うよりは、IAの時点で考慮された構造とユーザビリティを元にすれば自然とこの流れになります。
いくら「SEOだ!」といっても意味のわからない、使えないラベルはまったく無意味ですから。

その後、ワイヤーフレームやグラフィックデザイン等に進んでいきます。

クライアントと関わり


ここで森川さんは、クライントの担当者には出来るだけ初期の調査分析段階から関わってもらう方が良い、とおっしゃっていました。

そうすれば、共犯に出来ると。

これは冗談ではなく、このサイト制作の共犯にする事でクライアント内部のごたごたを吸収してもらう事が目的だそうです。
担当者自身が関わっていれば制作側の味方に少しは近くなりますし、それ以上にどういう経緯でどういう結果になったかを明確に内部の説明できる点が大きいでしょう。
強く主張できる根拠があれば、それだけクライアントのぶれ幅を抑える事が出来ます。

ワイヤーフレーム


クライアントとの関わりに関連して、ワイヤーフレームでもお話がありました。

それは、制作初期でいきなり詳細なワイヤーフレームを提示しない事です。

もちろん、固める程の情報が無いという問題が大きいのですが、それ以上に初期のサンプルイメージを後まで引きずる事になるからです。

この意味でも、クラインを早い段階で巻き込み、簡単なプロトタイプを見せて行く方が効率がよいといえます。
森川さん曰く、ダーティープロトタイピングの推奨です。

個人的にもこの考え方を実践する方が、双方にとって無駄を省けて有益だと思いました。

結び


かなり長くなってしまいましたが、ようやく結びです。

最後に1点私自身がいいたい事があります。

このお話で出てきた様々な手法は、調査として100万以上の予算が割けないと良い効果は出ないと講演で聴きました。
しかし、中小企業や個人商店ではそんなお金は出ません。
もちろん、これほどの調査が必要な広いターゲットかと言われればそうではないはずなので、同列には扱えないのですが...。
かといって、誰のためのサイトかという点は明確にしなければなりません。

ではどうするか?

私が提案できるのは、先行の公開されている調査資料を利用する事です。
生データではなく、年代もあまり選べず、クライアントに最適化しておらず、直接的にユーザー像を確定できませんが、参考とするには心強いソースとなるはずです。

具体的には、古いデータを提供しているマーケティング会社のデータや、世論調査等の公開されている公的な調査です。
また、民力や国勢図絵、ライフスタイル系の白書統計なども利用できます。

もっとも、個人的には「ネットユーザー白書」の最新版の出版を望んでいます。
これが最新版なら有効なソースになると思うのですが...。
現状では、古すぎるかと思います。

お金をかけない代替的な手段であっても、かなり使えるものも見つかる可能性があります。
ベストでは無いにしろ、ベターな方法として視野に入れておくべきではないでしょうか?

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