2010年11月6日土曜日

日本の余白と西洋の余白

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日本の余白と西洋の余白について。

余白という概念は、美術ではとても重要です。
描かない事に意味があると言えるほどです。

実はこの概念、西洋にはあまり馴染みの無いもでした。
むしろ日本が得意とする概念です。


余白の定義


余白を言葉で明確に定義する事は難しいのですが、ともかく書いてみると。

余白とは、意味を持った何も無い空間です。

しかし、厳密に言えば無彩色で何も書かれていないと言う訳ではありません。
イメージとしては、水墨画でうっすらとグレーの諧調がついているような部分も余白と言えます。

もっとも、通常は何も書かれていない空間が余白だという認識で良いかと思います。

重要な余白の要素

余白である為の重要な要素は、何も書かれていない部分に意味がある事です。

無意味に空けた隙間や塗り残しを、余白とは言いません。
余白には明確な必要性があり、なければならない要素なのです。

日本の余白


日本や中国などでは余白は重要な要素として認識されていました。
また、鑑賞者も余白の存在を感じる事が出来ました。

水墨画

最も分かりやすい例は、やはり水墨画でしょう。

墨のみで描かれた水墨画は、塗ると言うより描くと言う方がしっくり来ます。
結果、主に線の大小や濃淡ですべてを表現します。
このシンプルさは五七五で表現する俳句に似ています。

水墨画での余白は主に抜けて行く遠景や、描写対象の奥の地面や空などに用いられます。
意図としては、空間を演出し、静かな情感をもたらす事を目的としている場合がほとんどです。

描写の疎密を作りだす事で、描写対象を強調する為でもあります。

日本であれば、余白のある絵を見て違和感を感じることはあまり無いでしょう。
余白が無意味な隙間では無い事を、感覚として理解していると思われます。

西洋の余白


西洋には以前は余白の概念はあまり無かったようです。

基本的に西洋絵画は画面を塗り尽くす事が基本と言えます。
言い方を変えると、画家は画面に塗り残しを作る事に耐えられず、鑑賞者もまた塗り残しを許せないのです。

油彩

色面として一色で塗りつぶす事はあっても、何も塗らずに支持体(絵の具を載せる物理的な対象。紙とかキャンバスとか板とか。)をそのまま残す事はまずありません。

制作方法は十人十色ですが、油彩では良く下地として様々な色を最初に塗り広げます。
描く対象が何であれ一見関係の無い色でも隅々まで塗ります。

これにはいくつかの理由があり、その1つは下に色がある事で上の色がより豊かに見えるからです。
絵の具が僅かでも透明度を持っていれば、下の色に必ず影響されて色味が増します。

この点では、地のままを残す考えはまったくありません。

WEBデザイン上の余白


WEBデザインでは、デザイン的な意味での余白が存在します。
一般的にはホワイトスペースと呼ばれています。

簡単に言えば、パーツをどのように配置するかというレイアウト上の問題です。
パーツ間の間隔とも言えます。

この点では西洋の方が進んでいるようです。
デザインの参考とする場合、日本より海外の情報を重視してはいないでしょうか?
もし重視されているならば、デザイン力は海外の方が良いのだと言えるはずです。

絵画的な余白

WEBデザインにも絵画的な余白を用いる事は有効です。

パーツの配置を含めて一枚の絵として考えた場合。
画面全てを埋めることへの窮屈さを感じているのならば、余白を強く意識すれば良い方向に向かう可能性があります。

その際頭で理論的に考えるのも良いのですが、日本ならではの「余白の美」を感覚的に意識する事も有効ではないでしょうか?
結果として、日本では自然に、西洋では斬新に見える要因になるかもしれません。

結び


余白を扱う事が出来れば、豊かな表現が出来ます。
感覚的な豊かさもですが、情報が明確に伝わりやすくなります。

ここまでで書いた通り、余白は西洋より日本の方がなじみ深い技法です。
余白に対する感覚を研ぎすませれば、西洋とは違う独自のデザインが作りやすいかもしれません。

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