2011年1月31日月曜日

『Helvetica forever』を読んでみた

スポンサーリンク

『Helvetica forever』を読みました。
前から気になっていタイポグラフィの本です。

ただし、日本語版ですが。



『Helvetica forever』の書誌的事項


Helvetica forever』の著者などです。

  • 書名:Helvetica forever
  • 編集:ヴィクトール・マルシー/ラース・ミュラー
  • 翻訳:森屋利夫
  • 発行所:株式会社ビー・エヌ・エヌ新社
  • 発行日:2009.2.20 初版
  • ISBN:978-4-86100-633-3

国内で初版2,000部限定生産の本ではありますが、見た感じほとんど売れていなさそうです。

装丁は特徴的で、表紙に麻布のような生地が張りつけらています。
タイトルは刻印されたようなへこみをもっており、非常に情感があります。

手触りとあいまって、無機質では無い感じが魅力的な装丁です。

1つのフォントが出来上がる過程


正直に言えば、内容は濃いのですが量が少ない印象です。
読み終えれば、もっと知りたいと感じる事でしょう。

しかし、濃さは相当です。

Helveticaというひとつのフォントが出来上がる生の資料が掲載されているからです。

ホフマンの日誌

Helveticaを作り出したスイスのハース社のディレクターであるエドアード・ホフマンとHelveticaの書体デザイナーであるマックス・アルフォンス・ミーディンガーのやり取りを、ホフマンがまとめた日誌。

この日誌がこの本の肝だと思います。

日誌には手紙のやり取りやフォントの試作を紙焼きした紙が切り貼りされています。
順を追ってフォントが形になる様を見る事が出来ます。

『R』のフットの角度。
『M』の開き。
『t』のカーブ。
『S』『s』の傾き。

フォントの作成に、非常に繊細でバランス感覚を求められている事がつぶさに分かります。
Helveticaの一見特徴が無いという特徴を表現する為の試行錯誤がここにあるわけです。

統一感とバランス


フォントとは書体です。

一文字ができて完成ではなく、全ての文字が一定の統一感を持たなければなりません。
太さや文字と文字の間隔や高さなどの全体のバランスも重要です。

フォントが利用された場合、一面にそのフォントが並びます。
その際の可読性を確保しなければなりません。

また、一面を見た時に感じるグレーの度合いも重要です。

字間が狭く文字が太い書体は、一面を黒く見せます。
反対に字間が広く細い書体は、一面を白く見せます。

可読性だけでなく、こういったデザイン的側面も当然気にしなければなりません。

この本の前半には、歴史的な過程を語る中で他の書体の特徴が書かれています。
その特徴として上記の統一感とバランスは非常に重要な要素です。

『Helvetica forever』日本語版の本文

タイポグラフィの本を読む理由の1つに、その本でのフォントの使い方を見たいからという動機があります。
タイポグラフィについて書いているのだから、普通より気を使っているはずですから。

で、『Helvetica forever』はどうかと言えば...。
非常に特徴的です。
なにせ、言うなれば見出しがnormalで本文がboldで書かれていますから。

意図がなければこんな使い方はしないでしょう。

イメージとしては原書の見え方に近づけているのだと思います。
Helveticaっぽいといいますか。
その為か、日本語の文章として読みやすいとは言えないかもしれません。
しかし、決して読みにくい訳では無く。

むしろ、本文がこの太さでここまで読めるものだとは思いませんでした。

結び


Helvetica forever』は非常に魅力的な本です。
しかしながら他の方に勧めやすい本ではありません。

タイポグラフィに興味を持っていて、WEBであれ何であれHelveticaを使う事が多いのであれば。
『Helvetica forever』をお勧め出来ます。
自分が好ましいと思うフォントについて知る事は、その使用においても有益な情報となるはずですから。

 

スポンサーリンク

0 件のコメント :

コメントを投稿